新しく副業を始める上で支払うお金が増えるのかどうかは気になる疑問のひとつ。
本業の会社員を続けながら副業を始めた場合、
本業で支払っている「健康保険料」「厚生年金保険料」とは別に社会保険料を支払う必要はありません。
ここでは、注意点と合わせてわかりやすく解説していきます。
社会保険制度によって会社員が副業をしても社会保険料の負担が増えない
「健康保険料」や「厚生年金保険料」が毎月の給与から差し引かれて支払っている会社員が、給与とは別に副業で「雑所得」や「事業所得」を得ている場合、追加で社会保険料を支払う必要はありません。
これは社会保険制度によるもので、法律により定められています。
健康保険料か国民健康保険料はどちらか一方を支払う
国民健康保険の被保険者は、健康保険の被保険者となった日の翌日からその資格を喪失することとされている(国保法第6条第1号及び第8条第1項)。
健康保険の被保険者は、適用事業所に使用されるに至った日又はその使用される事業所が適用事業所となった日から被保険者の資格を取得することとされている(健保法第35条)。
出典:国税庁
わかりやすく言うと、「健康保険」に加入すると、もう片方の「国民健康保険」は自動的に解約されるということです。
株式会社などで雇われて働いている会社員は健康保険の加入者となって健康保険料を支払っています。
会社員を辞めた場合、
健康保険の資格は失って国民健康保険の加入者となって国民健康保険料を支払います。
このような社会保険制度により、
「健康保険」と「国民健康保険」はどちらか一方しか加入できない仕組みになっています。
支払う保険料も「健康保険料」と「国民健康保険料」のどちらか一方のみになるということです。
株式会社など法人の事務所や従業員が常時5人以上の個人の事務所とされており、健康保険料が関係する全国健康保険協会(協会けんぽ)と厚生年金保険料が関係する日本年金機構で確認できます。
厚生年金保険料と国民年金保険料は既にどちらも支払っている
株式会社で働いているほとんどの会社員は副業を行っていたとしても厚生年金保険料とは別に追加で国民年金保険料を支払う必要はありません。
日本の公的年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の全ての人が加入する「国民年金(基礎年金)」の1階部分と、
株式会社などの適用事業所で働いている70歳未満の会社員が加入する「厚生年金」の2階建てとなっています。
株式会社で働いているほとんどの会社員はどちらも条件を満たしているため「国民年金保険」と「厚生年金保険」の加入者となります。
会社で給与から差し引かれて支払っている「厚生年金保険料」には「国民年金保険料」が含まれています。
つまり、追加で「国民年金保険料」を支払う必要はありません。
給与所得の場合は負担が増えます
ここで注意するポイント。
副業で得られる所得が「給与所得」の場合は社会保険料の負担が増えるということです。
会社員(サラリーマン)のように雇われて受け取る給与や賞与(ボーナス)は給与所得です。アルバイトやパートで得られる給与も給与所得です。
また、副業の存在を本業の会社に知られてしまいます。伏せておきたい場合は必ず給与所得以外の所得が得られる副業を選択するようにしましょう。
所得(もうけ)の種類は10種類ほどありますが、とりあえず知っておく所得(もうけ)の種類は「給与所得」「事業所得」「雑所得」の3つでOKです。
社会保険料の計算方法により負担も増え存在も知られてしまう
どうして副業で得られる所得が「給与所得」の場合、社会保険料の負担が増えてしまい副業の存在も知られてしまうのでしょうか。
その理由は、社会保険料の計算方法の仕組みにあります。
副業で得られる所得が「給与所得」の場合、
本業の会社員が給与として得られる「給与所得」と副業で得られる「給与所得」が合算されて社会保険料が算出されます。
その後、それぞれの会社の給与から算出される標準報酬月額の割合で社会保険料が割り振られて、それぞれの会社の毎月の給与から差し引かれて支払うこととなります。
このことから、2箇所の事業所から給与所得を得ている場合、本来の社会保険料とは異なった金額が給与から差し引かれることになるため、副業の存在を知られてしまうことになります。
まとめ
副業を始める上で社会保険料の負担が増えないというのは大きなメリットであると思います。
会社員を続けたまま副業や事業を始めるべきか、会社員を辞めてしまって新しく事業を始めるべきか検討中の方にとっての選択材料の一つとなるのではないでしょうか。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
それでは、また!